蝶の観察記録(2007年)
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西久保田んぼを主体とした狭山丘陵周辺の蝶の観察記録及び、奥多摩や山梨県などへ遠征した記録を日記風に掲載します。(西久保田んぼ周辺以外の蝶の観察記録はこちらへNew

10月20日(土)
晴れ
西久保田んぼ

宮寺小学校の児童やボランティアによる稲刈りも無事終わり、晩秋の気配が色濃くなった田んぼでは、溜池の整備が行われていた。
この溜池は、田んぼに引き込む湧き水を一時溜め、水温を上げてから田んぼに送ることを目的に作られたと思われる。 広さは大したこと無いが、水生生物や植物の格好の生息場所で、ザリガニ採りなどをする子供達に人気の場所だ。
ところが、年月の経過とともに土砂が溜り、水生植物が水域の半分程を占拠してしまったため、それらの除去も含め整備をしているようだ。
その直ぐ南側には、ハンノキが3本植えられ立派に成長している。この木には毎年ミドリシジミが産卵し、初夏には成虫も見られるため格好の観察ポイントなのだ。今年もその下枝などからたくさんの卵を確認していたが、溜池の整備とあわせて下枝を払われてしまったようだ。管理上の問題などもあると思うが、個人的には残念だ。切られた下枝は近くに積み重ねてあり、そこから出来る限り卵を救出しようと思う。

9月5日(水)・8日(土)
自宅
10年程前、自宅の畑の片隅にウマノスズクサを植えたところ、今はかなり株数も増え畑の一角がウマノスズクサで覆われている。
いつジャコウアゲハが飛来するか心待ちしていたところ、9月5日の朝、出勤前に初めてその姿を確認した。
同週末にもの飛来を確認し、このウマノスズクサで産卵しているところも確認できた。葉を裏返したりすると、卵や幼虫まで見つかった。このジャコウアゲハがどこから飛来したか不明だが、この周辺では「西久保田んぼ」が最も近い発生地と思われる。
ジャコウアゲハは余り生息地を離れないため、田んぼから500メートル程の距離にある私の家にようやくたどり着いたことになる。西久保田んぼでジャコウの再発生を確認したのが3年前のこと。こんな風に少しずつ生息域を広げているのだろうか。
6月16日(土)・17日(日)
晴れ
西久保田んぼ
先日、関東地方にも梅雨入り宣言が出されたと言うのに、今週末は予想に反し、カラッとした晴天に恵まれた。
半ば諦めかけていた北アルプスのクモツキ・リベンジも考えたが、麦刈りなどの野良仕事が溜まっていたため、それも片付けねばならない。週末農業の辛いところだ。
さて、こんな時のストレス解消は田んぼへ行くのを常としている。幸いミドリシジミも発生していることだし、その開翅シーンを撮影するには絶好の天気だ。
16日は快晴であるが少し風が強い。田んぼの周辺にはテングチョウやルリシジミ、キマダラセセリなどが多い。ヒメキマダラセセリも混じるが、こちらは発生のピークを過ぎ破損個体が多い。
ミドリシジミのポイントでは、風が強いのが功を成してか、ミドリシジミやウラナミアカシジミ、ミズイロオナガなどがかなり下草におりていた。また、トラフシジミなども見られた。
翌17日は風も無く穏やかな晴天。だだ気温は昨日より幾分低いが、風がない分暑く感じられる。 見られる蝶は昨日と同様だが、風がないためか下草におりているウラナミアカはほとんど見られない 。また、ミドリヒョウモンやメスグロヒョウモンなどを期待したが、お馴染みのツマグロヒョウモンを見かけただけであった。
とろろでこの2日間、ミドリシジミを撮影しに来られた多くの方々に出会った。中には拙HPを見て足を運んだと言う方もおり大変嬉しいことだが、同時に、このHPが採集者を導くことにならなければ良いなと複雑な思いであった。
ここに生息するミドリシジミは、数本のハンノキを頼りに生き延びている個体群であり、もちろん個体数も少ない。一人でも採集者が入ればかなりのダメージを受けてしまうと思われます。幸いここでは採集者を見かけたことはありませんが、この地のミドリシジミがいつまでも生き延びてくれるよう、皆さんのご協力をお願いします。
6月9日(土)
曇り
西久保田んぼ
今日は、梅雨空を思わせるような曇天だがゼフの仲間の撮影には特別問題ない。なぜなら田んぼの周辺で見られるこれらの蝶は、日中余り活動せず主に夕方活発に活動するからである。そのため撮影には曇天であれ問題ない。唯一ミドリシジミの場合は、その美しい翅表を撮影するには、午前中の日差しを受けて翅を開いたところを狙わなければならない。
雑木林周辺の下草などを探すと、ウラナミアカシジミを発見。まだ羽化後間もないようだ。その後ミズイロオナガシジミも見つかり撮影できた。
今日の目的でもあるミドリシジミについては、ハンノキやその下草などを探しても見つからない。まだ未発生なのかと思ったら、下草に羽化後間もないような個体が静止していた。
西側斜面のクリの花を確認すると、アカシジミやウラナミアカ、ルリシジミ、テングチョウなどが吸蜜にきていた。
5月4日(金)
晴れ
西久保田んぼ
今日も田んぼの周辺の林を散策。
散策路を登って行くと、今だミヤマセセリがクヌギの幼木で産卵しようとしている。カメラを向けたため生憎産卵を止めて逃げてしまった。すぐ近くでキチョウもネムノキに産卵しようとしていた。こちらは見事に産卵。
テングチョウが産卵していたエノキで幼虫を探すと、テングチョウの幼虫は確認できなかったが、ゴマダラチョウの終齢幼虫を見つけた。まだ越冬した成虫が見られるルリタテハも産卵済みであろうと、付近のサルトリイバラを探すとすぐに一卵見つかった。
4月21日(土)
晴れ時々曇り
西久保田んぼ
例年、この時期はギフチョウやヒメギフチョウを求めて出掛けることが多く、身近な観察を怠ってしまうことがしばしばある。
田んぼの周辺は一年で最も美しく活気に満ちた季節であり、 僅かな時間でも田んぼへ出掛けていくことを心掛けているのだが・・・。
今日は天候も不安定であったため、じっくり周辺を散策した。
周辺の林は所々萌芽更新のため伐採され、明るい空間となっている。ところが伐採されたコナラやクヌギは大半が老木化のため萌芽更新せず、コナラやクヌギの苗木がボランティアの手により補植されている。 このクヌギの苗木には、ミヤマセセリがよく産卵にやってくる。また、林床が明るくなったことがツツジなどの低木の成長を助け、コツバメは以前より見かけるようになった。
しばし、この伐採地でミヤマセセリの産卵などを撮影していると、キアゲハツマキチョウもやってきた。 伐採されずに残されたエノキには、テングチョウが産卵している。卵を探していると偶然ヒオドシチョウの卵塊が見つかった。
3月31日(土)
曇り
西久保田んぼ
生憎の雲り空で、蝶の姿はほとんど見られず、ミヤマセセリを一頭確認するのみ。
水路や溜池などには、産卵に集まってきたヒキガエルの雌に多数の雄が群がる蛙(かわず)合戦を繰り広げ、ひも状の卵も各所に見られる。
田んぼの畦に植栽されたハンノキの若芽も伸びだし、それを待っていたようにミドリシジミの卵は孵化が始まっている。周囲のエノキも新芽が膨らみ、その付け根にはテングチョウの卵が多数産卵されていた。
上流部の水路の枯葉の中を探ると、運良くトウキョウサンショウウオの成体や卵も見つかった。
3月17日(土)
曇り時々晴れ
西久保田んぼ
例年にない速度で進んでいた春の訪れも、ここで暫く足踏み状態だ。今日の気温は10℃程度で風も幾分強く寒く感じる。それでも西久保田んぼ周辺は春の気配が感じられる。
草地では、ようやく緑色に色付いてきた地表すれすれを活発に翔ぶモンキチョウの姿が確認できる。この蝶は11日の日曜日にもすでに発生を確認していた。本命のミヤマセセリを求めて日当たりの良い林の斜面を探索すると、1頭のみであるがその姿を発見できた。お彼岸前の発生はかなり早い記録である。
その後、田んぼの脇の水路でサンショウウオの卵を探すが見つからない。一雨ほしいところだ。近くの水中をタモ網ですくっていた息子がホトケドジョウを捕まえた。近年めっきり少なくなって心配していたが、まだ健在のようだ。
アカガエルの卵は、大半がオタマジャクシへと孵化が進んでいた。
1月3日(水)
曇り一時晴れ
西久保田んぼ
新年明けましておめでとうございます。本年よろしくお願いします。

冬季の恒例となっている平地性ゼフィルスの越冬卵の観察に出掛ける。

水路付近のイボタを探すとすぐにウラゴマダラシジミの卵が見つかる。続いて
田んぼの畦に植栽されたハンノキからミドリシジミの卵を探す。昨年は、幹よりも枝に産卵されたものを多く見かけたため、今シーズンも下枝を中心に観察すると、明らかに枝のくぼみなどから多数の卵が見つかる。これらのハンノキの成長は著しいものがあり、幹からは小さな卵を見つけにくくなっているも一因かもしれない。ただ、卵塊は少なく1、2卵づつ産卵されているのも特徴のようだ。
その後、周辺部のエノキの根元でオオムラサキゴマダラチョウの越冬幼虫を探すと、両種ともかなりの個体数を確認できた。