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坊っちゃん

おすすめ本シリーズ〜小説


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       日本文学・名作等 世界文学・名作等

ヤング・アダルト

カラフル『カラフル』森絵都/著(1999年)
 「みんなそうだよ。いろんな絵の具を持っているんだ、きれいな色も、きたない色も」 ひろかのもっている明るい色が、真の暗い日々をいつも照らしていたんだぞ。 そう教えてやれないのが残念だった。
 人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。 この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはみんないつも迷ってる。 どれがほんとの色だかわからなくて。
                黒もあれば白もある。
                赤も青も黄色もある。
                明るい色も暗い色も。
                きれいな色もみにくい色も。
                角度しだいではどんな色だって見えてくる。
 

The MANZAI『The MANZAI』あさのあつこ/著(1999/10)
「勉強できたかて、スポーツできたかて、なんぼのもんや。たいしたことあらへん。やっぱ、おもろいやつが勝ちやで。絶対や。」 文化祭での漫才「ロミオとジュリエット」にむかってひた走る中学生たちの姿を描く。


海辺のカフカ『海辺のカフカ上・下』村上春樹/著新潮文庫( 2005年)
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。 


一瞬の風になれ『一瞬の風になれ(1)〜(3)』佐藤多佳子/著 (2006/8/26)
サッカーに限界を感じた新二と、やる気のない天才スプリンター連。とくに強豪でもない春野台高校陸上部に入部した幼なじみの2人。それがすべての、始まりだった-。思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説。

ぎぶそん『ぎぶそん』伊藤たかみ/著 (2005/05)
中2のガク、かける、マロ、リリィは、バカやったり喧嘩したり恋をしたり。そんな4人が、ガクの熱意に押されてバンド練習を始めて…。14歳、それぞれの音がはじけて響く! 胸が痛くなるほど鮮やかでフレッシュな物語。

4TEEN『4TEEN』石田衣良/著(2001年)
地下鉄の階段を上がる。目の前にずらりと並ぶもんじゃ焼き屋。裏道に入れば木造の長屋が残り、そして目線を上げれば、そこにはスカイラインを切り取る超高層マンションが。それらがみんな奇妙に調和して共存する町、それが僕らの町、月島。  180センチ、100キロの巨漢、ダイ。  ウェルナー症候群という難病のナオト。  勉強が得意なジュン。  かっこいいことを言ってもどこかイケてない、テツロー。  月島中学に通う中学二年生四人組が一年間で経験する様々な出来事。入院中のナオトの許に大まじめで「エンコー」の女子高生をプレゼントし(「びっくりプレゼント」)、過食・拒食を繰り返す同級生とつきあい(「月の草」)、自転車旅行と偽って2泊3日で新宿の町を探訪し(「十五歳への旅」)……。この町でぼくたちは恋をし、傷つき、死と出会い、いたわり合い、そして大人になっていく。  その他「空色の自転車」「大華火の夜に」「月の草」「ぼくたちがセックスについて話すこと」「飛ぶ少年」の、瑞々しい八つの物語で描く今どきの十四歳、青春ストーリー。  

青空のむこう『青空のむこう』アレックス・シアラー/著(2002-05)
「この世」に思いを残したまま死んだ少年が、「この世」にゴーストとなって戻ってくる。友達、家族に思いを伝える術がなかったが、最後に奇跡が起きて「あの世」に旅立ってゆく。
【シアラー,アレックス】
大人向け、子ども向けの小説を多数発表しているイギリスの作家。作家活動のほかに、30以上もの仕事を経験し、テレビ、映画、舞台、ラジオ劇の脚本も執筆している。趣味はギター演奏。イギリスのサマセット州に家族と在住。二児の父

Tomorrow『Tomorrow stage1―明日、戦争が始まったら』ジョン・マーズデン/著(2006-12)
キャンプを終えて帰ってきた7人の高校生が目にしたのは、謎の武装集団に占拠された町だった。敵の追跡と爆撃、そして仲間の負傷-。自らと家族の生存をかけた、ティーンエイジ・サバイバルがいま始まった!
【ジョン・マーズデン】
1950年メルボルン生まれ。シドニー大学で学び、さまざまな職業を転々とした後、28歳で教員生活へ。87年に処女作『so much tell you』(邦訳『話すことがたくさんあるの…』)を発表、オーストラリア児童文学賞を受賞。小説、エッセイ執筆活動の他、若い小説家を育てるためのワークショップも開いている。

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ファンタジー

ハリーポッターと賢者の石『ハリーポッターと賢者の石』J.K. ローリング/著(1999/12)
ハリー・ポッターは孤児。意地悪な従兄にいじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ホグワーツ魔法学校からの入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知る。キングズ・クロス駅、9と3/4番線から紅色の汽車に乗り、ハリーは未知の世界へ。親友のロン、ハーマイオニーに助けられ、ハリーの両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決までの、息を飲む展開。9歳から108歳までのファンタジー。 

カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国ものがたり (2)『ナルニア国ものがたり』C.S. ルイス/著(2000/6)
創造主のライオン、アスランにより開闢された架空の世界ナルニアを舞台に、20世紀のイギリスの少年少女が異世界と往復しながら、与えられた使命を果たす冒険を描いている(『馬と少年』のみナルニアの隣国の少年が主人公)。 

精霊の守り人『精霊の守り人』偕成社 (1996/07)
バルサが助けた少年は第二王子のチャグムだった。チャグムは100年に一度生まれる精霊を宿しているために、あらゆる者からねらわれていた。精霊が無事に生まれるとその100年は大きな災害や飢饉が起きないという。

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ミステリー

容疑者Xの献身『容疑者Xの献身』東野圭吾/著(2008年)
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

ダレン・シャン―奇怪なサーカス
『ダレン・シャン―奇怪なサーカス 』ダレンシャン/著(2001/06)
友人の命を救うために、バンパイアになってしまうダレン少年の物語。数奇な運命をたどっていく主人公の冒険や不思議な世界が、予想もできぬ展開で繰りひろげられていく英国のミステリー小説です。  ワーナーブラザーズがこの小説の映画化権を取得し、米国では発売早々、児童書ベストテン入り。ドイツでもすぐに初版を売りきったという、話題の英国産ベストセラーのファンタジーミステリーです。『ハリー・ポッター』が大きな話題を提供しましたが、その作者が激賞したという小説です。『ハリー・ポッター』が空想の世界のイメージをふくらませる本ならば、この『ダレン・シャン』は実際に起こるかもしれないと思うような現実味をおびた世界を舞台に選んでいます。英国の子どもたちが作者のホームページにメールを寄せています。「今まで読んだ本の中で、最高におもしろかった。ハラハラ、ドキドキの連続で……他の本のように退屈する暇がない」などなどと。全13巻。 

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ホラー・SF

夏と花火と私の死体『夏と花火と私の死体』乙一(おついち)/著(2000/05)
九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです……。少女の死体をめぐる兄妹の暗黒の冒険。斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、天才少年・乙一のデビュー作、ついに文庫化。(解説・小野不由美)  

星新一ショートショートセレクション〈1〉ねらわれた星
『星新一ショートショートセレクション〈1〉ねらわれた星 』星新一/著(2001/11)
SF短編の名手星新一の千を超える作品の中から、ヤングアダルト向きのものを厳選して編むシリーズ第1巻。「おーいでてこーい」など19編をおさめる。 

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生きる力

“It(それ)”と呼ばれた子『“It(それ)”と呼ばれた子』デイヴ ペルザー/著(2002/09)
「なぜ、ぼくだけがこんな目に?」―母親に名前さえ呼んでもらえない。“That Boy(あの子)”から、ついには“It(それ)”と呼ばれるようになる。食べ物も与えられず、奴隷のように働かされる。身の回りの世話はおろか、暴力をふるわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう―児童虐待の体験者がその記憶をたどることは、きわめて苦痛と困難をともなうものだ。本書は、米国カリフォルニア州史上最悪といわれた虐待を生き抜いた著者が、幼児期のトラウマを乗り越えて自らつづった、貴重な真実の記録である。 

さらば、哀しみの青春『さらば、哀しみの青春』水谷 修/著(1999年)
夜の繁華街で「夜回り」を始めて11年、多くの若者と関わってきた高校教師が、ドラッグ乱用や犯罪に深まる子どもたちの実態を報告する。
水谷 修
1956年横浜生まれ。上智大学文学部哲学科卒業後、横浜市で高等学校の教師となる。現在、横浜市の夜間高校の教師。教師生活のほとんどの時期、生活指導を担当し、高校生の非行・薬物汚染問題に関わる。特に薬物問題では、若者たちから「夜回り」と呼ばれている深夜の繁華街のパトロールを通して、多くの若者たちとふれあい、彼らの非行防止と更生に取り組んでいる。2003年1月、第17回東京弁護士会人権賞受賞 

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日本文学・名作等

坊っちゃん『坊っちゃん』夏目漱石/著(1999年)
『坊っちゃん』は数ある漱石の作品中もっとも広く親しまれている。直情径行、無鉄砲でやたら喧嘩早い坊っちゃんが赤シャツ・狸たちの一党をむこうにまわしてくり展げる痛快な物語は何度読んでも胸がすく。が、痛快だ、面白いとばかりも言っていられない。坊っちゃんは、要するに敗退するのである。

蜘蛛の糸『蜘蛛の糸』芥川龍之介/著(1968/11)
芥川がいつも冷たい皮肉屋であったわけではない。むしろ本当に願ったものは、人間の本来持っているやさしさである。そのような芥川のやさしさが出ている作品を主とし、さらに空想的世界のひろがりを見せてくれる伝奇的な作品等をえらぶことにした。 

友情『友情』武者小路実篤むしゃのこうじさねあつ/著(1987年)
友情とは見返りを求めないものである、愛 とは無償の情愛を捧げることである、死とは現世における肉体の消滅である、友情と愛と 死の本質を温かい文体の中にも鋭く描写した武者小路実篤の珠玉の作品である ...

銀河鉄道の夜『新編 銀河鉄道の夜』宮沢賢治みやざわ・けんじ/著(新潮文庫)
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カンパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など賢治童話14編を収録してある。  

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世界文学・名作等

ロミオとジュリエット『新訳 ロミオとジュリエット 』シェイクスピア/著 角川文庫
モンタギュー家の一人息子ロミオはある夜仇敵キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込み、一人の娘と劇的な恋に落ちるのだが、……逃れようのない悲劇へと加速する二人の運命を描く、不朽の名作。

【シェイクスピア】
1564年、イギリス中部のストラットフォードで、商業を営む父と旧家出身の母との間の第三子として生まれる。1582年、十八歳で八歳年長のアン・ハサウェイと結婚、一男二女をもうける。故郷をはなれ、1592年頃にはロンドン演劇界で劇作家として幸運なスタートを切る。1594年、新しく組織された劇団「宮内大臣一座」の幹部座員として名を連ね、俳優兼座付作者として活躍、次第に独自に戯曲を書くようになる。およそ二十年間劇作に専念し、劇作家として名をなす。1616年没 

十五少年漂流記『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ/著  新潮文庫
1860年3月、あれくるう南半球の海上で、1そうの船がさまよっていた。船の名はスラウギ号。乗船者は15人の少年だけ!―漂着したのは名も知れぬ無人島だった。なにもない島の中で、知恵を出して合って生きぬかなければならなかった。感情の対立や助け合う心を、少年たちの共同生活を通して描くと、胸ときめかせる長編冒険小説。

【ジュール・ヴェルヌ】
1828年、フランスに生まれる。科学や機械に関するSFものを中心に多くの作品を発表。この『十五少年漂流記』は1888年に書かれ、日本では1896年、森田思軒の翻訳によって出版された。そのほかのおもな作品には『八十日間世界一周』『海底二万里』『月世界旅行』などがある。1905年、没。

トム・ソーヤの冒険『トム・ソーヤの冒険』マークト・ウェイン/著角川文庫
誰もが知る冒険文学の最高傑作が、ついに新訳にて登場!
わんぱく少年トムは、宿なしっ子ハックを相棒に、いたずら騒動を巻き起こす。海賊気どりの家出、真夜中の殺人の目撃、洞窟で宝探し、そして恋。子供の夢と冒険をユーモアとスリルいっぱいに描く、少年文学の金字塔。

【マークト・ウェイン】
1835年、アメリカ・ミズーリ州の小村フロリダで、開拓者の第6子として生まれる。植字工、水先案内、鉱山探鉱、新聞記者などの職を転々とし、1865年『ジム・スマイリーと彼の跳ね蛙』を発表、ユーモア作家として一躍脚光を浴びる。以後、作家・講演者として幅広く活躍。1910年、狭心症のため74歳で死去。

老人と海『老人と海』ヘミングウェイ/著・福田 恒存/訳新潮文庫
やせこけた老人。その名はサンチャゴ。しかし、海の男である彼には、不屈の闘志があった。ひとり、小舟で沖に出て1週間、ついに遭遇した巨大な、かじきまぐろ。網を繰り続け、大魚と格闘する日が続く。殺すか殺されるか―。だが、いつしか彼の心には、大魚への熱い友情が生まれていた……。
アメリカの文豪、ヘミングウェイが、大自然の中で生き抜く男の、勇敢さとロマンを描き上げた名作。

【ヘミングウェイ】
アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(1899年7月21日 - 1961年7月2日)は、アメリカの小説家・詩人。行動派の作家で、スペイン内戦や第二次世界大戦にも積極的に関わり、その経験を元に行動的な主人公をおいた小説をものにした。『誰がために鐘は鳴る』『武器よさらば』などはそうした経験の賜物。当時のハリウッドに映画化の素材を提供した。

はつ恋 『はつ恋』ツルゲーネフ/著・神西 清/訳新潮文庫
年上の令嬢ジナイーダに生れて初めての恋をした16歳のウラジミール深い憂愁を漂わせて語られる、青春時代の甘美な恋の追憶。

【ツルゲーネフ(イワン・セルゲーエヴィチ・トゥルゲーネフ)】
[1818-1883] ロシアの小説家・劇作家。深い教養と冷静な観察力で、ロシア社会が抱える問題をテーマに幾多の名作を書いた。若き日に無政府主義者バクーニンとの共同生活を体験し、50代ではフローベールやゾラと交際するなど、ロシアとヨーロッパの作家、思想家との交流を通じ、両者の懸け橋となった。主作品に『貴族の巣』『ルージン』『父と子』などがある。

狭き門『狭き門』ジッド/著・山内 義雄/訳新潮文庫
物語の語り手であり主人公でもあるジェロームは、2歳年上の従姉であるアリサに恋心を抱く。アリサもまたジェロームを愛しているが、周囲の人々も両者が結ばれることに好意的であるにもかかわらず、結婚をためらう。神の国に憧れを持つ彼女は、最終的に地上での幸福を放棄し、ジェロームとの結婚をあきらめ、ついには命を落とす。

【ジッド】
フランスの小説家。アンドレ・ジイド、アンドレ・ジードとも表記される。
1869年パリ生まれ。ソルボンヌ大学中退。オックスフォード大学名誉博士。小説などの著作により、既成キリスト教的道徳・倫理からの解放を訴えた。欧州の広範囲に渡って文学的影響を与えた。

若きウェルテルの悩み『若きウェルテルの悩み』ゲーテ/著・高橋 義孝/訳新潮文庫
親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、ゲーテ(1749‐1832)が味わった若き日の情感と陶酔、不安と絶望が類いまれな抒情の言葉をもって吐露されている。

【ゲーテ】
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749年8月28日 - 1832年3月22日)はドイツの詩人、劇作家、小説家、科学者、哲学者、政治家。特に文学において優れた作品を多く残し、シュトゥルム・ウント・ドラングとヴァイマル古典主義を代表する作家の一人となった。

車輪の下『車輪の下』ヘッセ/著・井上 正蔵/訳新潮文庫
南ドイツの小さな町。父親や教師の期待を一身に担ったハンス少年は、猛勉強の末、難関の神学校入試にパス。しかしその厳しい生活に耐えきれず、学業への情熱も失せ、脱走を企てる。「教育」という名の重圧に押しつぶされてゆく多感な少年の哀しい運命をたどる名作。

【ヘッセ】
ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)は、ドイツの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者である。風景や蝶々などの水彩画もよくし、南ドイツの風物のなかでの穏やかな人間の生き方を画いた作品群の他に、ヘッセの絵を添えた詩文集は、今でも人気がある。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品でノーベル文学賞を受賞した。

異邦人『異邦人』カミュ/著・窪田 啓作/訳新潮文庫
アルジェリアのアルジェに暮らす、主人公ムルソーのもとに、彼の母の死を知らせる電報が養老院から届く。母の葬式に参加したムルソーは涙を流すどころか、特に感情を示さなかった。彼は葬式に参加した後の休みの期間中、遊びに出かけたまたま出会った旧知の女性と情事にふけるなど、普段と変わらない生活を送る。ある晩、友人レエモンのトラブルに巻き込まれ、アラブ人を射殺してしまう。ムルソーは逮捕され、裁判にかけられることになった。裁判では人間味のかけらもない冷酷な人間であると証言される。彼の母親が死んでからの普段と変わらない行動は無関心・無感情と人々から取られたのだ。彼は裁判自体にも関心を示さず、裁判の最後で殺人の動機を問われ「太陽が眩しかったから」と答えた。判決では死刑を宣告され、ムルソーはそれすら関心を示さず、上訴もしなかったため、死刑が確定した。留置場に司祭が訪れ、ムルソーに悔い改めるように諭すが、彼は司祭を追い出す。留置場の中でムルソーは、死刑の瞬間に人々から罵声を浴びせられることを人生最後の希望にする。

【カミュ】
アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913年11月7日 アルジェリア - 1960年1月4日)は、フランスの小説家、劇作家。『異邦人』や『シーシュポスの神話』、『ペスト』などの著作で、人間存在の不条理さに光を当て、1957年にはノーベル文学賞を受賞した。

変身『変身』カフカ/著・高橋 義孝/訳新潮文庫
この作品では、主人公のザムザが醜く役立たずな虫になってしまうことによって引き起こされる、本人とその家族の苦悩が描かれている。家族は虫になったザムザを嫌悪するが、変身前の彼への愛からくる、同情の二律背反する感情に深く苦しむ。ザムザ本人も、家族のそばにいたいと思うが、姿を見られると家族や下宿人を恐がらせることに悩む。ザムザはもともと家族思いな性格で、飲んだくれて働けない父親の分まで生活費を稼ぎ、クリスマスには妹を音楽学校にいれいてやる志向を話そうと計画するなど、善良で真面目な人間であった。しかし虫になるやいなや役立たずどころか存在自体が家族の悩みの種になってしまい、家族関係は一変する。さらには父親が再び働き出したことにより、あんなにも献身的に家族に尽くしたザムザはいつの間にか全く不要な存在になってしまう。
「変身」してしまったのはザムザのみならず、手の平を返すように豹変した周囲の人々でもあったのだ。

【カフカ】
フランツ・カフカ(Franz Kafka, 1883年7月3日 - 1924年6月3日)は、出生地に即せば現在のチェコの小説家。ユダヤ人の家庭に生まれ、作品はドイツ語で発表した。


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