小説

村上春樹メモ
村上春樹村上春樹の略歴
1949年1月12日に京都府京都市で生まれる。兵庫県芦屋市で思春期をおくる。芦屋市立精道中学校、兵庫県立神戸高等学校、早稲田大学第一文学部演劇科卒業(1975年、7年間かかった)
在学中の1974年にジャズ喫茶「ピーターキャット?」を国分寺で開店。
1979年「風の歌を聴け」でデビュー(群像新人文学賞)。
1981年専業作家に。
1982年11月「羊をめぐる冒険」で野間文芸新人賞受賞。
2006年チェコのフランツ・カフカ賞、アイルランドのフランク・オコナー賞受賞。
2009年イスラエルのエルサレルム賞受賞。
代表作に「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(新潮社。谷崎潤一郎賞受賞作)「ノルウェイの森」「ねじまき鳥クロニクル」(新潮社。読売文学賞)「海辺のカフカ」(新潮社)など。
レイモンド・カーヴァーやスコット・フィッツジェラルド、レイモンド・チャンドラーなどの翻訳を手がける。
もっとも海外で翻訳紹介されている現役日本人作家。


1Q84『1Q84上・下』(2009)
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。
書き下ろし長編小説。
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。
1949年に、ジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。

海辺のカフカ『海辺のカフカ上・下』(2005)
四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女―。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。“入り口の石”を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが二人を導く闇の世界に出口はあるのか?海外でも高い評価を受ける傑作長篇小説。

ノルウェイの森『ノルウェイの森上・下』(2004)
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと―。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。

ねじまき鳥クロニクル『ねじまき鳥クロニクル』(2003/10)
第1部:僕とクミコの家から猫が消え、世界は闇にのみ込まれてゆく。―長い年代記の始まり。
第2部:猫が消えたことは、始まりに過ぎなかった。謎の女はその奇妙な暗い部屋から、僕に向かって電話をかけつづける。「私の名前を見つけてちょうだい」。そして僕が不思議な井戸の底で見いだしたものは…。
第3部:僕は少しずつ核心に近づいている。猫は戻る、笠原メイは遠い場所から手紙を書き続ける、間宮中尉はもうひとつの秘密を打ち明ける。ねじまき鳥に導かれた謎の迷宮への旅。完結編。

羊をめぐる冒険『羊をめぐる冒険』(1982/11)
美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという1頭の羊と〈鼠〉の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。1982年秋、僕たちの旅は終わる。すべてを失った僕の、ラスト・アドベンチャー。村上春樹の青春3部作完結編。野間文芸新人賞受賞作。

1973年のピンボール『1973年のピンボール』(1980/6)
僕たちの終章はピンボールで始まった
雨の匂い、古いスタン・ゲッツ、そしてピンボール……。青春の彷徨は、いま、終わりの時を迎える
さようなら、3(スリー)フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との<僕>の日々。女の温もりに沈む<鼠>の渇き。やがて来る1つの季節の終りデビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた第2弾。

風の歌を聴け『風の歌を聴け』(1979/6)
1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。

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