西久保田んぼの四季

野山が眠りからさめる春は、田んぼの周辺を散策する人達で一番にぎやかな季節となる。田んぼにはレンゲが咲き、モンシロチョウやスジグロシロチョウなど春の蝶が飛び交う。日没過ぎると、ヒキガエルが産卵に水場へ出てくる。その数なんと200匹以上、どこにこんなに多くの蛙が潜んでいたのか不思議である。アカガエルはヒキガエルより一足先に産卵を済ませる。トウキョウサンショウウオも湿地のわきの水路にバナナのような形の卵のうを産む。


トウキョウサンショウウオの卵のう

ゲンジボタル
初夏には、田んぼの周辺の林で平地性のゼフィルスが発生する。昼間は下草や食樹の葉上などで休んでいるが、夕方には樹上を活発に飛翔する多数の個体を見ることが出来る。
田んぼには木陰が少ないため、真夏の散策はあまりお薦めしない。夜になるとゲンジボタルが観察できるが、ここ数年一晩で見られる数はせいぜい2、3びき程度。ギャラリーの方がはるかに多いが、夕涼みがてら出掛けてみる価値はある。また、周辺の林ではカブトムシやクワガタがクヌギなどの樹液に集まっている。周辺の街灯の灯りもポイントとなる。

里山がもっとも面白い季節は秋かも知れない。西久保田んぼ周辺の丘陵には各種のキノコが発生する。食用になるのはせいぜい10種類程度。なかでもクリタケムラサキシメジが多い。他にナラタケハタケシメジ、ナラタケモドキなどが食用となるが、図鑑などを頼りに判別するのは危険であり、経験者による判別が無難である。 キノコの他にも山芋や山栗、アケビなどを見つけるのも楽しい。


クリタケ

ミドリシジミの卵
蝶の観察は春や夏だけのものではない。冬になるとオオムラサキやゴマダラチョウの越冬幼虫ゼフィルスの越冬卵など落葉してからの方が観察しやすい種類もある。湿地にも水がなくなるため、ミドリシジミの卵の探索にはこの時期が最適。