Arrnimal High School 第一章 「ワンダーランドと不思議の学園」




「あぁ…時間だわ。」

窓から高い空を見上げて、女性が囁くように言う。

「彼らが選び、歩むのは光?それとも……。」



ふるふると首を横に振ると、女性は窓に背を向けて歩き出す。




窓の外の高い空は、今日も青く澄んでいた。














第1話  Wonder Land





















見渡す限りの大草原。

空は青く、光に包まれる前と何ら変わっていないようだが…。

アリスは先程と違う『雰囲気』というものを感じ取っていた。

そして、目の前に立っている見知らぬ少年…。

ブレザーの制服姿の少年は俗に言う『うさみみ』で、何故かアリスの名前を知っていた。

 

「あなた……誰?ここは、どこ?」

おずおずとそうたずねると、少年はクスクスと笑う。

そしてにっこりと微笑むとアリスに言った。

「僕はうさぎ。…あぁ、名前が『うさぎ』なんだ。ここはワンダーランドっていうところだよ。

僕が君を召還したんだ…アリス。」

「!ワンダーランド?!召還したって…」

混乱するアリスを横目に、サラサラとうさぎは説明を続ける。

「この世界は『汚されてしまった』んだ。…そしてこの世界を救えるのはキミだけなんだよ、アリス」

 

 

話を聞いているうちに、アリスはやっと理解した。

ココは異世界。

自分の今まで住んでいた世界ではない、と。

 

 

「そんな事言われても…困るよ!私、帰らなきゃ……」

そう言うと、うさぎはしゅんとしながらアリスの足元を指さす。

アリスが恐る恐る足元を見やると……

壊れている時計が1つ。

おそらくアリスが踏んで壊したのだろう。

「これがないとアリスを元の世界には帰せないんだよね〜…」

はぁぁ、と大きくため息をつくうさぎを呆然とアリスが見ていると

うさぎはアリスの肩をポンポンと叩いて微笑みながら言った。

「大丈夫!帰るまでの生活なら、ボクに任せてよ!!」

 

 

***

 

 

「で。」

「で?なぁに?」

いかにも不満そうに表情をゆがめて、アリスがうさぎに問う。

「…なぁにじゃないわよ!どこよ、ココ!…って見た感じ学校じゃないの!!」

「うん、僕の通っている学校。アーニマル学園高等部だよvv」

あっさりとそう答えたうさぎを見て…アリスはがっくりと肩を落とし、呟く。

「やられたわ……さっき名前を書いた書類…この学校のモノだったのね…ッ」

「まぁ、ね。アリスが僕の時計を壊しちゃったから、しばらくの間は帰れないんだ。

だから親切で☆暇つぶしというか…ホラ、そんなコト言っている間に校長室だよv」

苦笑していたうさぎを横目に、アリスは涙ぐむと校長室を見上げる。

『学校』…といっても、アリスが以前通っていたような学校ではなく、

どこぞの上級貴族の学校のような形(なり)だった。

 

コンコン。

少し高めの上質の木の扉が鳴る。

扉を開くと、部屋の中央に男性が一人と、その隣に女性が一人、立っていた。

 

 

静かな部屋の中。

誰も口を開いてはいけないような…そんな雰囲気。

そんな中、部屋の中央に座っている男性…つまり、校長は、アリスに向かって言った。

「ようこそ、我が校『アーニマル学園』へ。まぁ、座りたまえ」

席を勧められて…おずおずと2人が腰掛けると、

校長は秘書と思われる女性を部屋から出し、2人に単刀直入に言う。

「君は……この世界の者ではないね?」

『……………。』

図星をつかれて…2人は黙り込んだ。

うさぎはしばらくして、校長を見据えてはっきりと言った。

「実は…その通りです。でも!確信は、あります」

「そうかい……君がそういうなら、入学を許そう」

校長は口元だけで笑い、あっさりそう言う。

軽く手続きを済ませるうさぎより先に、アリスは学校を出た。

 

 

 

「はぁぁぁ…。」

わざと、声に出してため息をつく。

誰が聞いていると言うわけでもないのだが…夕日の沈みかけの静寂という物ほど

人間を孤独感に浸らせるものは無い。

「姉さん、心配してるかな…」

自分でも驚く間もないほどに、こちらの世界…うさぎのいう『ワンダーランド』に来てしまったのだ。

もしかしたら、血眼になって探しているかもしれない。

 

そんな事を考えていると、背後から視線を感じ…。

 

「うさぎ……?」

 

振り返ると、見た事の無い…自分よりも1つか2つ年下のような少女が

アリスを睨むように見据えて立っていた。

「あ、あの……?」

おそらく『ワンダーランド』の住人なのだろう。

髪はツインテール。黒いうさみみの少女は、アリスの問いかけに反応せず

はっきりと告げた。

 

「私……あなたみたいなヒト、嫌いよ。私から大事な物を奪うんだもの。

あなたなんか…早く自分のいた世界に帰えればいい………ッ」

それだけ言うと少女は、もと来た方向に走り去る。

内容がよくつかめないまま呆然としている所に、うさぎがやってきて。

 

「じゃ、行こうか!!」

元気よく歩き出すうさぎにされるがまま…アリスたちはゆっくりと歩き出す。

 

 

赤く染まった夕日だけは、これから起こる出来事を優しく見守るように

2人の帰宅道を照らしていた。

 

 




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