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 つまりエンド&スタート

 積み上げる弱い魔法。

 ああしよう、こうしようと計画しても、
 そのとおりに行動できない自分が嫌い。
 どうしてそんな簡単なことができないかな。
 クリックするよりは難しくないはずなのに。

 諦めてる。
 そこから始めるのは、随分難しくて。

 届かない場所ではないとは思う。
 少し走れば届く距離であると思う。
 行動が伴わないのは意思の薄弱さが原因なのか、
 それともそう諦めていること自体がすでに真実か。

 本質はどこまでも見えないね。
 そこに在るだけの存在であるが故に。

 終わりだと。
 そう諦めた瞬間から走り出す、力を。


 パン屋

 正直面白い。パンヤ。


 うあ

 UAの『The color of empty sky』を聴きまして、
 なんだか要らないことを色々考えたり。
 そもそもそのタイトルの響きが好きなのですけれど、
 日本語に直したときがもっと好き。
 普通に日本語に直したら、
 『からっぽの空の色』
 なんですけれど、
 ちょいとひねくれて考えると、
 『カラのソラの色』
 変換して、
 『空の空の色』
 変換して、
 『空の空のカラー』
 変換して、
 『空の空の空』

 ……考えすぎですか。

 恥ずかしいことに、昔、UAとBonniePinkの区別がつかない時期がありました。
 今でもたまに危ない。たいして似てないのに。


 

 俺に春を気づかせるのは、
 大抵は梅の花かハナミズキです。
 桜はもちろん春の花ですが、なんというか、あれは気づくものじゃないですよね。
 春であることを再認識する花です、桜ってのは。
 そして、ソメイヨシノよりも八重桜の方が好き。

 杉だという方は、その、ご愁傷様です。

 いやはや、春ですね。
 気づかぬうちに、和田アキ子がm−floと組む季節になりました。
 佐藤竹善のPVにラーメンズ片桐が出る季節ですよ。
 ジャケットまで片桐のアップだもの。やりすぎですよね。

 m-floとアッコさんの組み合わせは本気で驚きました。
 やるなぁ、m-flo。(その企画力と度胸は)


 あめがふる

 あめがふる

 あめがふる

 はるをよんで ちをうがつ


 あかつき かくす ほそきあめを

 やわらかき とげを なでるあめを

 しだりしだる はなのえさきに

 まるくすわって はるがまつ


 あめがふる

 あめがふる

 こらをおこせ はるがくる


 あしおとのさきに あまき つちのか

 あたたかき あめに こえをあげろ


 正直しんどい

 あー、体がだるい。
 もうね、しんどすぎます。バイトが本当にしんどいです。
 仕事ひとつひとつは慣れてきたから楽になってきたのだけれど、
 残業というシステムはその単純さゆえに、なかなかに克服できないものだね。
 3時間の残業イコール3時間の睡眠時間削減ですからね。
 24時間−通勤4時間(往復)−労働12時間(休憩1時間半含む)=8時間。
 全部睡眠に充てられるはずもないわけで。

 そう考えると、世のお父さん方は物凄いタフだね。
 今の俺には家族サービスとか絶対に無理なんですけど。
 遊園地とかありえない。動物園も広すぎる。
 行けてサンシャイン水族館くらいだろ。距離的に。
 あとは近所の公園で、我が子の成長を見守りながら煙草を吸う役。
 もしくは野球の練習相手。トスバッティングのトス専門で。(ボールも拾わない)
 あとは、トランプとか、ゲームとか。
 ……ダメな子に育ちそうだ。

 って、もう2時になっちゃう!
 5時間寝られない予感!
 子供嫌いのくせに子育てのことなんか考えてるんじゃなかった!
 超無駄!


 ついでに音楽話

 そういえば先日卒業式を迎えまして、
 その際にサークルの後輩からステキなプレゼントをいただきました。
 簡単に言うと卒業祝い。
 中身は彼のオススメCD10枚セットでした(勿論本物ではない)

 アルバムタイトルを挙げるとだるいので、アーティストだけ挙げますと、
 レミオロメンが2枚、フジファブリックが1枚、
 ゆらゆら帝国が1枚、スパルタローカルズが1枚、
 POLYSICSが1枚、THE_BUCK_HORNが1枚、
 THE_ZUTONSが1枚、Kasabianが1枚、
 スネオヘアーが1枚、という構成。
 うち、今のところPOLYSICSだけ聴きました。やばい、POLYSICSきてる。
 ある意味でステキな才能を撒き散らしていると思います。
 次はレミオロメンにしておこう。無難に。

 そろそろポータブルCDプレーヤーが欲しいです。
 よく考えたら、音楽ないと朝の電車の中が暇だ。
 本は帰りの電車でしか読まない主義。
 MDに録音するのは面倒な主義。(のわりにプレーヤーは2つある)

 iPodとか買えばいい?
 えーとえーと。

 MP3になっちゃうと聴かない主義。


 叫ぶ

 日本のアーティストにおいて、
 『シャウト』の技術に特化しているヴォーカリストというと、
 どうしてか大抵の人がB’zの稲葉さんだと答えますが、
 俺はDir_en_greyの京を推したい。推していきたい。

 『Withering_to_death.』を聴いたのです。
 ディルのアルバム聴いたのなんて『MACABRE』以来ですよ。
 にしましても、随分と音楽の方向が変わってきたなぁ、と。
 デスっぽくなってきました。もはやビジュアル音楽紙一重。

 やばい。かっこいい。


 ふぬけういろう野郎がっ!

 『海辺のカフカ/村上春樹』読了。
 最後まで読んだうえでの感想はまた別のものになったので、
 以前の31章についての考察は削除しました。ご了承ください。

 でまぁ、最終的な感想なんですが、
 それが過酷な未来であっても受け入れる、というタイプの結末ではなかったものの、
 ある意味、春樹らしい最後だったかな、と思っております。
 現状維持、という言葉が最も近いのだけれど。いや、少しは進んでますけどね。
 なんというのかな。
 春樹作品って、あくまで俺の個人的な意見ですけれど、
 不思議なこと・ありえないこと・超現実的なことが沢山起こる作品ほど、
 結末はごく自然なものを選ぶように思えるんですよ。
 その物凄い変化・非日常を経験した上で、主人公は成長し、その未来を受け入れる。
 ただしその未来というのは、激動の果てにあるまったく新しい未来ではなく、
 その特別な日々の以前とそれほど変わらない(けれど、間違いなく違う)未来だ、と。
 結果、ぱっと見すると、現状維持に見える。
 そんな作品が多いように思います。
 で、今回の作品もその類のものではなかったかな、とね。
 結局、主人公である彼の選択は(読んだ人のためにぼかすけど)あれだったわけで。

 じゃあ面白くなかったのか、と問われると、答えはノーですけどね。
 いやぁ、面白かった。

 春樹作品の魅力とは何だろうと、ちょいと考えてみました。
 俺は村山由佳も京極夏彦も森博嗣も奈須きのこも好きですけれど、
 一番好きな作家を挙げろと言われたらやっぱり春樹を挙げるわけです。
 それと、不思議なことに、春樹の本はどうにもさくさく読めるのですよね。
 たぶん、同じ時間で、春樹の文章は上の4人の作家のそれより1.5倍は速く読める。
 まぁ、それは魅力とはあまり関係ないのですけれど、少なくとも相性の良さは証明している。
 そんなことを踏まえたうえで、俺はどうして春樹に惹かれるのかなぁ、とね、思ったり。

 で、結論からいってしまうと、
 思うに、春樹作品の登場人物は、その誰もが読み手の期待を裏切らないからである。
 そんな風に考えます。

 たとえばそれは、カフカにおける大島さんであり、ノルウェイの森の永沢さんであり、
 あるいはダンス×3のユキや、ねじまき鳥のメイがそうだ。
 もちろん他の登場人物も、少なくとも一度は僕らの期待を背中に背負い、
 それを受けてしっかりと、もしくはそつなく、期待に応えて見せてくれる。
 図書館に来た似非女性団体員と対峙する大島さんに、僕ら読み手は大きな期待を寄せる。
 そして、大島さんは僕らの予想をはるかに超えた手法でその期待に応えてくれる。
 春樹作品の魅力は、たぶんそういうところなんだと思う。
 誰もが期待を裏切らない。
 それがやはり魅力であり、文章を読むうえでの楽しみになっている。
 もちろん、
 『主人公だけは最後の最後で期待を裏切る』
 という春樹テイストを含めた上でですけど(苦笑)。

 久しぶりにねじまき鳥とひつじが読みたくなっています。
 でも、今は我慢ですかね。
 『天使の梯子/村山由佳』と『有限と微笑のパン/森博嗣』もあるわけですし。

 ところで、居間に『インストール/綿矢りさ』が転がってます。
 やれやれ。


 二度目の

 残業でした。PM10:00まで。
 またも12時間職場にいたことになります。べっこりですよ。

 ていうか、ていうか、気づいたんですけど、
 7時に起きて24時過ぎに帰宅している時点で、
 9時間睡眠とかぶっちゃけありえないんですね。

 泣いていいですか。


 はじめての

 残業でした。PM09:00まで。
 実に12時間職場にいたことになります。げっそりですよ。
 塾講師時代にも夏の講習とかでやりましたけど、
 仕事に慣れてない分ずっとこっちの方が疲れました。

 明日も残業らしいです。
 だからといって、塾講師に戻りたいとは思いませんけど。


 涙がキラリ☆

 久々に泣いた。チクショウ。
 起こるべきことが起こっただけなのに、
 どうしてこうも感情を揺さぶられるのか。

 そういうものを書きたい。
 何度でも、なんて贅沢は言わないから、
 誰かの心を、動かせるものを。


 やれやれ

 海辺のカフカ、第31章まで読了。
 下巻の1/4が終わったってとこですかね。
 鯰んとこの『books』みたいな文章は書けないけれど、
 忘れないうちにちょこちょこと書いておこうかな、なんて。

 (以下、26日削除)

 よし、寝よう!(12:45PM)


 やっとひと月

 というわけで、昨日(14日)でやっと編集バイトが1ヶ月過ぎました。
 総出勤日数は16日。
 うち、7日間は朝の電車に乗り遅れて特急(有料:410円)に乗ってました。
 しかもその間隔は後半になるほど狭い。
 ……これからが心配です。ちなみに、今朝も特急通勤。

 で、1ヶ月を終えて思うところは、
 とにかくデスクワークは肩と首に悪いね、ってことだけですよ。
 もうね、肩が凝るのは当然っちゃあ当然なんですが、
 喩えるなら天下一武道会で試合前に強気発言をするヤムチャくらい
 ボキボキ首の骨が鳴るのです。1日に何度も。
 このままじゃ首の骨が磨り減って、脊髄に傷がついちゃって大変かもっ!
 などと心配しながら日々を細々と暮らしております。眠い目を擦りながら。

 そうそう、眠気も相当手ごわい敵ですよね。
 先日は大して長くもないエスカレーターで立ったまま寝ましたよ。びっくりした。
 当然、エスカレーターから降りるところで足がぶつかって前につんのめったし。
 電車の中と違って捕まるものもない。目を開けると目の前には20代前半の女性。
 体勢はもう斜めに傾いている! おわ、まずいっす!
 『寝てました』なんて理由で肩を借りるわけにもいかないわけで……。
 根性でなんとかカラダを支えました。背筋を痛めました(泣)。
 早朝出勤は辛いです。


 心ある方、どうか僕をぐっすり眠らせてください。


 喧嘩パーティー勝敗結果

 カラオケ行ったりお好み焼き食べたりしましたが、
 最終的にはお好み焼き屋の清算時に、
 自分のお財布を発見できなかった俺の負けです。

 ………。

 カラオケの後に行ったドトールに落ちてました。
 3時間落ちっぱなし。
 せめて店員さんくらいは気づいてください。
 指差して笑いましたよ。まだ落ちてるよ!って。

 まぁ、実際、
 お金をおろしに行った鯰を無一文で待ってるときは笑えませんでしたが。


 学校を風邪で休むのとはワケが違う

 鯰んとこの厳戒警報解除。
 まぁ、文章に頭をヤられる可能性はありますけれど。

 木曜日は無事に休めました。
 いやぁ、平日に休めるのって、奇跡みたいですよね。
 神様にお祈りをしたくなるくらい平日が休みであることが嬉しかったです。
 世間の皆様には『何を今さら』とか言われそうですが。

 水曜の夜からギャラギャンとFireflyが遊びに来まして、
 極楽湯にて極楽浄土を疑似体験した後にドトール。
 家に帰ってぐーぐー寝て、散々サードやって終わりました。
 しかも、木曜の就寝時刻は22時。久々に9時間寝たー。
 9時間って短いですよね。思わず今日寝坊したし居眠りもしました。

 さて、ついに待ちわびたニ連休の始まりです。
 手始めに、鯰が俺に喧嘩を申し込んできています。
 明日は真っ昼間っから喧嘩パーティーだぜ!


 あーあ。

 また鯰のとこの日記ファイルがウィルス撒いてるよー。
 勘弁してください、本当に。
 いや、こっちは実害ないから良いんだけど。
 でも、見てるのは俺だけじゃないわけでー。

 今日来るはずだった校正原稿が、明日の午前中に延期。
 結果として、休みを得るために残業するつもりだった俺の計画は総崩れ。
 本当に水曜・木曜休めるのか!?
 火曜だけで終わらせられる自信ないよぅ。

 それでいて、今日は昼に落ちましたよ。
 土日に休まなかったツケが回ってきたよ。
 月〜金で編集、日曜にドトールのバイトってのは無謀だったかしら。
 久しぶりに忙殺されてます。頑張って、永瀬君!

 あーあ。


 書を読む人々

 とりあえず『まおうとゆびきり』が読み終わったので、
 新しく電車内での暇つぶし本を買ってまいりました。
 土曜に買ったのが森博嗣の『数奇にして模型』。
 今日買ってきたのが村上春樹の『海辺のカフカ(上下)』。
 これで今週の電車内事情は安泰でしょう。
 その次は何も考えていないけど。

 さて、その前に早寝をしなきゃ。
 眠気に負けちゃ本も読めん。


 気が触れるほど眠りたい

 悲しいお知らせ。
 8〜10はお仕事お休みのはずでしたが、
 7日にドサっと校正原稿が持ち込まれることが判明。
 それが片付かないとお休みにはならないってさ。
 れっつ死に物狂い。

 そういえば、下のを読むとなんとなくわかると思うのですが、
 京極の鉄鼠を読み終えました。
 相変わらず面白かったけど、今回は京極堂の見せ場が少なくて残念。
 だけど、代わりに榎木津さんが非常に格好よろしかった。
 故に、ある意味満足。

 で、今は打って変わってライトノベルを少々。
 「まおうとゆびきり」の2巻ですね。
 相変わらずゲームネタが多いが(今回もギルティネタが出てきたな)、
 分かる人にしか分からない、というネタが多くて、
 ちょっと暴走し気味かな、と思えてしまったのが残念でした。
 『ソルバルウ』なんていう単語にすぐピンと来る人なんて、
 少なくともここ読んでる人の中にはいないでしょう。
 (ギャラギャンくらいかな)
 相手が霧を撒き散らし始めて、主人公が
 『居合い斬りが避けられない』
 と考える、くらいのネタは許容しますけれどもね。モアイに激突→グラディウス、とか。
 とりあえずもう佳境なので、エンディングに期待。
 どうなるやら。

 さて、もう午前1時で大変です。
 あと6時間しか寝られないし、なんか今日は大雪なんでしょう?
 今日も六本木です。勘弁していただきたい。
 あー、寝たい。おなかいっぱい寝たい。


 後半グダグダ

 見下ろすと、眼下には青空が広がっていた。
 蒼天。そこには雲ひとつなく、ただ蒼だけが続いている。
 青の先に蒼があり、さらに先には……。  青と、蒼と、あおとあおとあおと。
 考えていると空に吸い込まれてしまいそうで、僕は慌てて目を瞑った。
 瞬時に降ってくる闇夜の景色。
 けれどそこは真の暗闇などではなく、もう少しだけ明るい世界だった。
 蒼と青と、さらに先には、―――宇宙。
 何も考えずに瞼を閉じてしまったけれど、
 そこには、残光の星々と漆黒の闇が待っていた。
 足元の青空と、目の前の宇宙、か。
 そう呟いて、心の中で苦笑した。下らない想像だと思う。
 下らないだけでなく、どうしようもなくチープだ。
 それでもまだ重力に逆らっていたくて、僕はゆっくりと目を開ける。
 もう一度だけ、足元に広がる青空を見たかった。
 ―――飛びたい。
 そんな風にも思っていたのかもしれない。

 でも、
 そこに美紀が居た。

 目と鼻の先に美紀の顔があった。
 あまりに突然の出来事に、僕は体勢を崩しかける。
 けれど美紀は、そんな僕の様子に気づくこともなく黙って僕の目を見つめ続けていた。
 目を逸らせない。
 美紀もまた目を逸らさなかった。
 驚いたことに、この至近距離だというのに、美紀はまばたき一つして見せなかった。
 それが余計に僕の思考を混乱させる。
 足元の空と、瞬きの闇に宿った宇宙。
 その先にあった、やけに真面目な美紀の顔。
 間もなく菜種梅雨に入ろうかという時期の、貴重な青空の下で、二人。
 それは、これ以上ないくらい、異常に満ちた風景だった。
 そんな風景が、風まで止んでしまった所為で、ぴたりと動けないままでいる。
 僕は混乱した頭で考える。
 これは、宇宙の歴史に比べたらどれだけ短い一瞬だ?
 一秒か? あるいはそれ以下なのか。
 人間の歴史だってほんの数秒だって言う。
 ならきっと、この時間なんてそれこそ瞬きくらいの時間だろう。
 だけど、その一瞬はなかなか終わりを迎えなかった。
 終わるどころか、僕にはまるで永遠みたいに感じられた。
 遠くの音がやけに強く鼓膜を震わせ、日差しは光の粒子ひとつひとつに分解される。
 心臓が送り出す血液は、どくりどくりと酷く遅く流れていく。
 そして、その先に美紀が居た。
 まるで永遠を象徴するみたいに、瞬きひとつしない美紀が居た。
 僕は直感する。閉じ込められたのだ、と。
 美紀の作った永遠に、僕は閉じ込められてしまったのだと。
 視線の檻は僕を捕え、呼吸すら満足に赦さなかった。
 否、呼吸することでその永遠が壊れてしまうことを、僕が知っていたからかもしれない。
 けれど、どちらにしろ同じことだ。
 美紀が永遠を作ったことに変わりはなかった。
 青空。宇宙。止んだ風。美紀の顔。誰かの声。うわんうわんと響く。あれは、あれは。
 僕は朦朧とし始めた意識の中で、様々な言葉を思い浮かべては消していった。
 そのどれもが永遠の中では意味を持たず、そのどれかに意味を与えなければ、
 僕はここから出られないような、そんな錯覚に囚われていた。
 甘い香り。落ちる意識。誰かの声。響いている。うわんうわん。あれは誰かの。果たして。果たして。
 僕はこの檻から出られるのか。宇宙と青空の狭間の、檻。
 あれは、誰の。誰の声だ。
 苦し紛れの吐息の音。思い出せ。ああ、呼吸を、呼吸をしなくては。
 誰の声だろう。あれは、あれは。

「顔、赤いよ?」

 たった、たったそれだけの言葉で。
 永遠の創造主は、いとも簡単に、永遠の世界を、―――壊した。
「……は?」
 僕は漸く言葉を返す。けれど、混乱した僕に放てたのは僅か一音だけだった。
 美紀はそれをどう解釈したのだろう。
 きっと不機嫌そうに聴こえただろう僕の声など気にもせず、美紀はその距離からさらに半歩近づいた。
 僕は後退しようと力を入れたが、うまく後ろに下がることはできなかった。
 美紀の前髪が僕の鼻先に触れている。
「だから、顔が赤いって言ってるの。もしかして、照れてる?」
 美紀はいたずらっぽく笑った。いや、真実、美紀は僕をからかっていた。
 そう考えると、漸く混乱していた僕の頭が正常に機能し始める。やっと時間が流れたと、そう思った。
「ばーか、照れてなんかいないよ。この格好の所為だってば」
「そうかなぁ?」
「そうだよ。ほら、下りるからちょっと後ろ下がって」
 トン、という軽い音。それと同時に、足元にあった青空はただの砂へと姿を変える。
 見上げると、青空はちゃんとそこにあった。本来あるべき、僕らが見上げるその先に。
「で、何の用だよ、美紀?」
「べっつにー。ただ、ユウちゃんが珍しく鉄棒なんかしてるからさー。しかも高鉄棒」
「ああ、なんだ、そんなこと。別に深い意味はないよ」
 ただ、青空を眼下に見下ろしてみたかった。それだけのことだ。
 もちろん、美紀には絶対に教えたりしないけれど。
「でもさぁ、ユウちゃん?」
「うん?」
 青空は、随分と高いところにあるばかりだから。
 少しくらいは、届いてもいいと。
 ……うん。
 そう、思っただけの話。
「スカートで鉄棒は、危険だと思うなぁ……」
「だいじょーぶ。ちゃんと押さえてたでしょ?」
「うん。どうやったらあんなに器用に押さえられるのか不思議なくらいに」
 そうして過ごす日々の中で、時に突然止まる世界で。
 あるいは檻。
 囚われる瞬間を、ある種望んですらいながらも。
 たとえばそれが、隣を歩く友人であって。だから一緒にいるだなんて、口が裂けても言えないけれど。
 菜種梅雨までもう少し。それまで、この青い空が広がるのなら。
 もう一度くらい、美紀に時間を絡め取られるのも、いいかもしれないなんて。
 そう思った。


 朗報

 3月の第2週、8〜10日が休みになるかも。
 今週は我慢して頑張ろう。