Arrnimal High School 第一章 「ワンダーランドと不思議の学園」
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『負の季節になるとあなたは帰れないわ。
だから春の夜時間が来るまでにあなたは帰らないと…次にいつ帰れるか…
又はあなたの身の安全も保障できなくなるの。』
4日前にチェシャに言われた言葉が、未だにアリスの頭から離れない。
ぼーっとした瞳を擦り、やっと慣れた手つきで制服を着ると
戸口で待っているうさぎと、家を出て学校に向かった。
(『帰れなくなるかも』なんていきなりそんな事言われても…どうしたらいいのかわからないよ…)
はぁ、とため息をつき顔を上げると学校に着いていたが…学校の様子はいつもと少し違う。
「なぁに…?校門で何やっているの?」
校門には何人かの教師・生徒が立っている。
うさぎはあぁ、と手を叩きアリスを見やるとにっこりと笑って言った。
「忘れてたよ…今日は生徒指導の日だった!!」
第4話 「It is power.」
別意味、それはアリスにとって地獄の行事。
クラスメートならまだしも、まだ他クラス・他学年には理解を得られていない。
生徒指導に引っかかるのは目に見えていた。
恐る恐る校門を潜ろうとすると、聞きなれた声がアリスの耳をかすった。
「だぁ〜か〜らぁ〜!!コレはファッションなの、ファッション!!」
「き…きんぱち?!」
校門で引っかかっていたのはきんぱちで。
彼は行動・容姿共々に他者の目を引く。
きんぱちはアリスとうさぎに気がつくとニッと笑って手を振った。
「よぉ、うさぎ、アリス!なんだ〜仲良く登校か〜?羨ましいな〜ぁ」
その笑顔は何処か含んだものがあって……
うさぎは苦笑して、きんぱちに手を振り替えした。
ただ、きんぱちが声を掛けた事が裏目に出て、2人は目だってしまい…。
ツカツカと役員と見られる生徒がアリスの方に歩いてやってきた。
「きみ、この間来たっていう人間の特例転校生だろう。
…やはり、人間は人間。学校一の不良と仲がいいとは…愚民だな。」
ふん、と鼻を高くそう言われて…アリスはかっとなり叫ぶように訴えた。
「な…ッ!いきなり、あんまりじゃないですか!私は……」
「そうですよ!ひどいです!!彼女はちゃんとしたこの学校の生徒です。
きんぱちだってちょっと目立つだけで…皆と何ら変わりません!」
うさぎもフォローするように、声を張り上げる。
「うるさいうるさい!!反抗するならお前達、全員生徒指導室行きだッ!」
役員に意見しようと、アリスが口を開きかけた時…
どこからか、透き通った男の人の声が聞こえた。
「…一体何の騒ぎだ…?」
「会長!!」
役員の生徒が声の主に向かって礼をする。
「か…かいちょ…?」
「会長!この学校の生徒会長でセフォリア先輩だよ!!」
壊れたロボットのようなアリスをフォローするかのように、うさぎが付け加える。
会長はアリス達の前に歩み寄ると、淡々と告げて。
「アリスくん。僕は…キミを決して歓迎しているわけではない。
でも……キミを『異種族』だからといって差別するわけでもない。
今回の事はこちらに非があるようだから謝らせていただくが、
キミもここで暮らしているのなら規則等は守ってもらう。
それだけは心得ていてくれたまえ。
……今日は、すまなかったな。」
「あ、いえ………。」
へこりと頭を下げられて、アリスも条件反射で頭を下げ返す。
「それときんぱち。お前は生徒指導室だからな。」
「えぇ〜!!?だからこれはファッション……」
嫌がるきんぱちを連れて会長はツカツカと歩いていってしまう。
その場に残ったアリスとうさぎは、お互いの顔を見合わせて苦笑した。
***
「会長、いい人みたいでよかった〜!」
ほっと、安心しきった笑みでアリスがそう言うと、うさぎは不思議そうに問う。
「へぇ…どうしてそう思うんだい?」
「だってさっきの役員の人は私の事『異種族』だからってヒドイ事言ってたけど
会長はそんな事ないって言ってくれたもの…。」
どこか寂しそうな感情を押し殺したように…そういうアリスを見て。
うさぎは声のトーンをひとつ下げて、言う。
「ごめん……。」
ふと、突然告げられた謝罪にアリスはバッとうさぎの方に振り返る。
「僕がこの世界に無理やり召還してしまったから…寂しい思い、させてるよね。」
「……そんな事、今更言ったってしょうがないじゃない…。」
「でも、僕はアリスのためだったら何だってするよ!
アリスが元の世界に帰れるように…僕も一生懸命その方法を探して…見つけてみせる!
僕が…誰よりもアリスの力になるって…誓うよ」
さわさわと気持ちのいい風が頬を撫でる。
真剣な瞳に見つめられて…。
少し紅くなった頬を隠すように、アリスは俯くと『当然でしょ』と呟くように言う。
うさぎはニコと微笑んでアリスを見つめた。
春が告げるのは不安から安心へと変わる気持ち。
『誰よりもアリスの力になるって…誓うよ』
その言葉は何よりも…私の力になる。