空想的世界へ誘う十の御題

From:リライト

奇数担当:木原  偶数担当:月華





1 夢の国からの使者



「どいてどいてぇ!正義の姫様のお通りよっ!!」


(アリス)




2 前世の、キミとボク

この想いをなんと呼ぶのか…。
それを知っているのは……。

違ったんだ。
最初は、『少し物珍しい』…それだけだった。
でも…今は、違う気がする。
一緒にいる時間は、何よりも幸せで…。
もっと温かい、気がする。

でも、その気持ちは俺にはわからなくて
その気持ちを何と呼ぶのか知っているのは…前世の俺だけ。
前世の俺を知っているのは、前世のキミだけ。

だから、今は、その気持ちは、誰も知らない。

(きんぱち)

3 期限は、次の満月の晩まで



「どうかあと少しだけ、時間を…」


(ミント)
4 きっとこの指輪をなくさないで



子供の頃、おもちゃの指輪をどうしても欲しがった事があった。
両親は当然買ってはくれなくて。
それでも欲しいと言い張る私を見かねて、姉が秘密でくれた物が『コレ』だった。

嬉しかった。大好きだった。
優しくて、いつも私を一番理解してくれて、たまには本気で怒ってくれて、心配してくれて…『双子だから』とか、そういう事ではなくて私を見てくれた。
…だからその指輪は、私の宝物で。

でも、一番傍にいてくれた姉と、年齢を重ねるに連れて少しずつ距離ができていった。
今では…何を考えているのか…それすらわからなくなってしまった。
この指輪を今になってもはずさないのは、姉に置いて行かれてしまうのが怖いから。
急に支えてくれるものがなくなったみたいに倒れてしまうのが怖いうから。

姉は「そんな古いモノ捨てれば?」というけれど…私にはきっとできない。

今もこの胸に残っている思い出。
それは何よりも大切なタカラモノ。
きっとこの指輪をなくさないで持っているから、いつか…あなたの事がわかる日がまた来ると…信じたいのです。

(ウィリ)

5 鏡に映った自分が、笑いかけた



「絶対に逃がしはしないよ、この僕を傷つけた代償、払ってもらうまではね」


(シェルリア・グレイリア)
6 さあ、いざ空中散歩へ!



ふわふわと身体が軽くなった気がした。
よく考えてみれば、あのヒトが来てからこんな事は一回もなかった気がする。

閉じていた瞼をゆっくりと開ける。
「わぁ〜…っ!!!」
そこは一面の青空。
何も考えずにすむ、不思議な空間。
そこに私は一人、漂うように飛んでいた。
こうしているとなんだか悩んでいる自分が馬鹿らしく思えて…笑えてきた。
この空は、私の中の『醜いもの』を消し去ってくれる。
自分が穏やかになっていく事を感じながら、私はもう1度瞼を閉じた。

次に目を開くとベッドの中。
「私…寝ちゃってたんだ…。」
あの空中散歩は夢だったのだと、がっくりと肩を落とす。
でも、いいや。こんなに気持ちは穏やかで。
「あ…メイちゃん、起きてたんだ?朝ごはん食べよ!」
聞きなれたその声に、今なら明るく正直な気持ちで返事が出来そうだと、そう思った。
私はニコと笑うとベッドを抜け出す。
また、夢を見たら出かけられるかな…。

…さぁ、空中散歩へ出かけよう!
『私』を素直にしてくれるあの青空へ…。

(メイ)
7 あなたはだあれ?



「…と、言うわけで僕は7年ぶりに再開した実の妹に忘れられていたというわけさ」
先生は、そう自嘲気味に私に仰いました。


(氷月)
8 猫がしゃべった!



「悪かったな、猫が喋って」


(会長)
9 お茶など如何でしょう。



「さぁ、お茶を淹れてあげよう。甘くて優しい、無想の一時を。」


(校長?)
10 月の雫が、ぽたり、ぽたり。



空になった心を、どうにかして埋めたくて
夜なのに散歩に出かけた。

「…お前は敵だ。」
そう言われる事くらい慣れているはずなのに
何故だろう?
今は心がズキズキと音をたてて痛む。

ぽたり。

音が聞こえた。
自分の頬を涙が伝う。
『アイツ』のためになんか泣いてなんかやりたくなくて。
『アイツ』を想って涙をながしたなんて認めたくなくて。
月の雫が落ちてきたのだと、そう呟く。

自嘲して空を見上げれば、黄金に光る満月。
アイツには似ても似つかない、満月。

(ハーティルト)